外資系金融はどの部署も激務なのか?【後編:バック】

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前回の記事、「外資系金融はどの部署も激務なのか?【前編:フロント】」の後編です。

外資系金融=激務なのか?外資系金融のフロント=総合職、バック=一般職という位置づけで正しいのか?といった所に踏み込めたらと思います。

 

*あくまで筆者の実体験に基づく個人的見解、感想です。会社や働く時期、職種によって見え方はそれぞれ異なります。

バックオフィス

いわゆるコーポレート機能、会社として機能するために必要なお仕事をする部署のことを「バックオフィス」、または「コストセンター」と呼んだりします。

イメージしやすいところだと、人事部や総務部といったところではないでしょうか?会社の売上に直接的に貢献することはないのですが、会社として機能するためには大切ですよね。

外資系金融を志望する学生さんからは、どうしてもフロント=花形(総合職)、バック=地味な一般職のように見られがちなのですが、決してバック=地味な一般職とかではないです。

どの部門でも高い専門性を求められますし、パフォーマンス評価や人員計画によっては人員の入れ替えも起きたりします(そこまで多くはないですが、日系企業よりは多いかも・・)。

ただ、フロントと比べるとチームとして仕事に取り組むことが多く、またパフォーマンスが数字になって表れづらい案件も多いため、そこまでドラスティックに人員を入れ替えたりといったことはないです。

ワークライフバランスは部門やチームによってはフロントと同等であることもありますが、総じてワークライフバランスはフロントより良いケースが多いと思います。

男女比率は部門により大きく異なるのですが、女性の方が比較的多いかなと思います。ワークライフバランスの観点から、かつてはフロントでお仕事されていた女性が、バックオフィスへ異動して仕事と子育ての両立を図るというケースも散見されます。

オペレーション部門

オペレーション部門って何をしている部門なのか最も分かりづらいのではないでしょうか?

お仕事内容については詳しくご説明すると長くなるので別記事にまとめておきますね。

 

さて、そんなオペレーション部門の働き方の様子ですが、平均すると午後7時~8時には大半の社員が退社しています。

オペレーションのお仕事の大部分は各プロダクトごとに決められたシステムへ各約定を入力・反映・確認することだったりしますので、そもそもそうしたシステムのカットオフ(入力締切時間)によって仕事を夜中まで行うといったことが不可能です。

一日の働き方も、基本的にはそうしたカットオフ時間に合わせて組み立てられており、カットオフを過ぎてからの時間は、個別案件対応(エラーハンドリング、規制対応等のプロジェクト、リスク管理の実施)に時間を割くことが多いです。

もちろん時期や所属チームによっては長時間労働になることもありますが、長時間労働がデフォルトな状態というのは少ないです。

*個人レベルでは常にオフィスにいるような方もいますが・・。

バックオフィスでは、新卒・第二新卒を採用している数少ない部門でもあります。

業務の特性からか日本のオペレーション部門は女性が多いです。これが海外(ロンドンやシンガポール)になると男性比率が上がるので面白いものです。

コンプライアンス・リーガル部門

まずコンプライアンスとリーガルを区別するところから。

簡単にご説明すると、

・コンプライアンス=株や債券の約定等の企業活動が法律や規制に則って実行されているか確認するところ

・リーガル=新商品・新業務等が法律や規制に照らし合わせて問題のないやり方(契約書類内容等)で行われるか確認するところ

 

余計ややこしいですかね?笑 もう少し砕いた言い方をすると、

・コンプライアンス=すでに確立されているお仕事(既存商品)が、きちんと正しいやり方で行われているかモニターする

・リーガル=まだ確立されていないお仕事(新商品、新規制への対応)が、色々な法律に照らし合わて問題ないようにアドバイスする

というところでしょうか。

 

前置きが長くなりましたが、働き方で言うとバックオフィスの中では比較的長めだと思いますが、フロントのように不夜城になったりとかもないようです(リーガルに限っていうと時期により一部例外もあるようですが)。

リーガルかコンプライアンスかで言うとコンプライアンスの方がワークライフバランスは取りやすいと思います。

コンプライアンスは日々流れてくる案件の確認・承認作業、個別案件や特殊事情が発生したときの対応等なので、そうした案件の流入数によって変わりますが、フロントやリーガルと比較するとワークライフバランスはよいです。

余談ですが、コンプライアンスを新卒で採用するというのは、外資系金融では私は聞いたことがないです。ただ、コンプライアンスへの中途採用の道はある程度間口が広いと感じています。というのも、元フロント、元オペレーション部門の方の転職事例はよく周りでも聞きますし、今後ますますコンプライアンスの需要が増えていきます(規制は厳しくなることはあってもゆるくなることは基本ないからです)。

リーガルは弁護士先生しかおりません。その高い専門性、少数精鋭であること、新規制への対応(案件によっては国内法のみでなく、米国や英国の規制・法律を読み込むことも多々あります)というのは毎年のように降りかかってきますので、どうしても時間を要してしまいます。

リーガル所属で気軽にお話しできる方を私が知らないため推測ですが、弁護士資格×金融というその高い専門性からかなりの高収入ではないかと思っています。笑

男女比でいうと、コンプライアンスは女性比率が高めでした。

リスク部門

リスク部門はその名の通り会社がさらされているリスクを察知し、適切にそうしたリスクに対処することがお仕事になります。

勿論リスクコントロールは全社員で取り組むべき事柄ですので、フロント・バックを問わずあらゆる業務のなかで潜在するリスクを各当事者が抽出し適切な対処をとることがもとめられます(1st Line of Defense と言います)。リスク部門はそうした各当事者が行っている活動が適切かどうかというのをモニターし時に是正すること、また社内監査との橋渡しになったりします。1st Line of Defenseの次の防衛ラインということで、リスク部門のことを2nd Line of Defenseと呼んだりします。

リスク部門の新卒採用も、私は過去あまり聞いたことがないです。コンプライアンス部門の中途採用のように、フロント出身、バック出身問わず転職事例はあるのですが、ある程度共通しているのが、フロントまたはバック部門で1st Line of Defenseとしての役割を担っていて、リスクコントロールや関連規制を理解・経験していることが挙げられます。

ワークライフバランスで言うと、バックオフィスの中では比較的遅めだと思います(特に新規制への対応時、規制対応への締めが近いとき等)。

*少し金融機関とは異なるのですが、某仮装通貨取引所のリスク関係の求人案件に応募したことがあるのですが、仮装通貨業界ではまさに規制を敷いているところで、社内で対応に追われているということでした。なので、普段の勤務状況をきくと不夜城のような感じでしたね。ただ、それは仮装通貨業界が1からリスクコントロール体制を作り上げているから生じたわけであって、既存金融はそこまでにはならないと思います。

男女比で言うと男性が若干多いかなと思います。リスク部門もコンプライアンス部門と同様に今後も需要が見込める分野ですのでねらい目だと思います。

ファイナンス部門

一言でいうと経理ですね。会社のお金の流れをきちんと把握し、適切に資金を割り振り淡々と処理していくことが求められます。

そんなに人数が多い部門ではなく、新卒採用の募集を私は見たことないです。

人数が少ないからか、あまりお目にかかることは少なかったこと、唯一知っているファイナンスオフィサーも外国人だったため、そこまで夜遅くまでガツガツ働いている印象はないです。*違っていたらすみません・・

あくまで私の印象ベースのお話になってしまうのですが、ワークライフバランスはバックオフィスの中でもよいかと思います。ただ、ファイナンス部門という職種そのものの今後の需要については黄色信号ではないかなと思います。これだけ、AIやロボティックス等が発達していくなかで、果たして何人の人がファイナンス部門で生き残っていけるのかなと(なので今でさえファイナンス部門は少ないのですが)。

テクノロジー(IT)部門

こちらは部門名からイメージしやすいと思います。社内システムがただしく作動しているか、新システムの開発案件を取りまとめたりとかが主な仕事になります(開発そのものはベンダーさんや、海外オフィスの開発チームが実施します)。

テクノロジー部門で最もユニークなのが、外資系金融東京事務所にあって外国人比率が最も多い部門だということです。IT言語に国境はないということなのでしょうか。

なので、テクノロジー部門のフロアのみ海外で働いているかのような雰囲気を醸し出します。笑 ただ、日本語で話しかけると日本語を理解する方がほとんどですので、日本語が分からないと思って不適切なことを日本語で言ってしまわないように注意が必要です。

テクノロジー部門のワークライフバランスですが、外国人が多いからかスパッと退社する方はいますし、一方で担当システムに不具合があったとかですとそれこそ不夜城状態になる方もいらっしゃるようです。

私のテクノロジー部門で勤務する友人もある日目が真っ赤なので「どしたん?」と聞くと、「システムの不具合があって夜中に呼び出されてずっと対処していた・・」と嘆いていました・。私の印象ベースなのですが、どの事業部門、システムを担当するかでその方のワークライフバランスが決まるといっても過言ではないかもしれません(そこはオペレーション部門も同じですね)。

テクノロジー部門は、数は多くないものの新卒採用を実施しています。

人事・総務部門

人事・総務部門で新卒・第二新卒採用を実施することはかなり稀ですがゼロではありません。

ただ、人事・総務部門といった機能はどんどん外注されていっているので、今後の需要の伸びしろには懐疑的にみたほうがよいです。ただ人事ですと、どうしても社員の個人情報管理や採用、社員のケアも含まれてくるので、そうした分野のみ社内に残っていく方向にあります。

人事・総務ともにワークライフバランスは比較的とりやすいと思います。

働き方改革の旗振り役である人事が不夜城になるわけにはいかないですしね。笑

まとめ

バックオフィスはどの部門も比較的ワークライフバランスは取得しやすく、それでいて給与は外資系金融水準ですので他業界と比べると格段によいです。

バックオフィスはそのお仕事の専門性や人員需要の点から、新卒・第二新卒への門戸を開いている部門が限られています。ただ、新卒・第二新卒採用を実施している部門でまずは経験を積み、そこからスライドさせる方法はバックオフィス to フロントオフィス、バックオフィス内部門 to バックオフィス内他部門 と事例は多くあります。

ただでさえ景気のいい話をきかない金融業界にあって、今後の需要を考えていくとコンプライアンス部門、リスク部門は先が明るいです。

テクノロジー部門やオペレーション部門も仕事内容や職種によっては今後も堅いのですが、そこは運によるというところでしょうか。ただ、きっちりと仕事で実績をだしていけば、最初に配属されたチームや担当業務が”はずれ”でも、必ず今後も日本オフィスに残す重要な仕事内容や職種に配属してくれますので、テクノロジー部門・オペレーション部門で淡々と実績を積んでいくというのも十分に今後も勝ち目がある戦略です。

バックオフィスはコスパ(ワークライフバランスと給与)もよく、職種によっては非常に面白くやりがいのあるお仕事です。ぜひ挑戦してみてください!